wanshannan’s diary

ドラマ、映画、ゲームの感想を中心にその他のことも書きます。

7/24 「十三機兵防衛圏」感想

【7/24】

十三機兵防衛圏クリアしました。プレイ時間44時間。プレイしてよかったです。
クリアしたにもかかわらず、ストーリー構成に圧倒され、未だに全貌を把握し切れておりません。クリア直後は情報を整理するために考えを巡らせていたら1時間経って頭が痛くなりました。頭を使いすぎました。
このゲームを一言で表す言葉が見つからない。強いて言うなら「これは、なんだ?」です。しかし凄まじいまでの手間ひま、時間、労力、アイディア、整理整頓が行われていることだけは確信を持って言える。本当にこのゲームのシナリオは人が作ったものなのかさえ疑いたくなる。いや、人が作ったに違いないんだけどさ。とりあえず箇条書きにしよう。


・世界を救うつもりが世界を創っていた
私がゲームをするときのモチベーションって「世界を救ってやるぞ」という意志にありまして、このゲームも同様でした。しかし、世界を守っていたつもりが、実際には新世界を創造する為に戦っていたのです。もう、ぽかーんでしたね。自分の想像以上の事を、知らない間に行っていたので、事の大きさに、壮大さに思考が停止しました。


・絵が綺麗でキャラが動かせる
一体何百枚の絵を描いたのか想像もつきません。屈む絵、横向きになる絵、起動シーンでしか使わないポーズ、朝昼夕夜、日が当たる、影になる、思いつくだけでこれだけです。頭おかしいんじゃ無いか。でもこれだけの絵を描いてくれたからこの作品が成立している。本当にありがたくて尊いです。これが動く絵画だ。PS4がこの世に存在してよかった。


・話が複雑すぎる
このゲームを作ろうと思ったとき、最初の着想はどこだったのだろう。どのシーンだったのだろう。それが全く見えないくらいの複雑さ、多重した事柄、クリアしたものの謎は多い、しかし情報量は多すぎるくらいで、おそらく破綻している場面は無い。訳が分らない。


・2025年の十郎と恵のロマンスを見たい
2人ともあんなに愛し合ってるのに、愛し合っている場面は妄想するしか無いところが辛い。公式に飢えている。


・起動シーンがカッコいい
CMとかで13人全員が自分の体を触っているカットがあって、何してんだと思ったらあれ起動シーンなのね。みんな体のどこかに触っているんだけど、この触っている場所がとてもキモ。私のお気に入りは、冬坂のふともも、スケバンの鎖骨、比治山の腕部、恵の腹、うさみの腰ですね。自分が何に興奮するかを暴かれてしまう、いい診断メーカーだと思います。


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・フラグ立てまくっているのにも理由がある
「お前らフラグばっかり立てやがって!」と思わず叫んでいたんだけど、テラフォーミングした新地球の新人類として繁栄していかなければならない使命を生まれながらに背負っているんだから、フラグ立てて子供作ってもらわないとお話にならないですよね。すごい納得した。


・キャラデザにも意味がある
「今こんなゲームやってるんだ。こっちが下野紘で、こっちが達兄」と知り合いに画像を見せると「2人の見分けが全然つかないぞ」と言われました。実はこんな風に、キャラ同士が似ているようにデザインされているのもキモなんだと思った。なぜなら、やたら同じ遺伝子を持った人間達が登場してくるからだ。こっちはAの成長した姿で2周前、こっちは今の姿、これは2000万年前の彼、これはBの子供で、これはBの成長した姿で2周前、これは赤ん坊のB、などなど、血縁関係がポツポツあったりループ前の人やAIやなんかもあったりして更にややこしい。こうくるとキャラデザをみんな寄せてしまえば、誰が同一人物か、血縁者か、そういうのがわかりにくくなる。ネタを明かさないための丁寧な仕事で仕掛けです。


・エピローグの沖野司と比治山君
5年経ってるんだから2人とももっと踏み込めよ!!!!!!!!!!!!!!!!
このゲーム唯一の不満!!!!!!!!!!!!!!!!!


・滅びの運命だと思ってたらハッピーエンドだった
「怪獣を滅ぼしてもコロニーの施設耐用年数がもう来てるから自然に死ぬのを待つだけで少し延命をするだけ」という風に明言されていたので、それに向かって突き進んでいたら、怪獣と戦っていたのは自分の脳内仮想現実でした、育成ポッドから出てテラフォーミングされた新地球を開拓してください、仮想現実で相思相愛になった人とはそのままよろしくやってください、ハッピーエンドです、と言われて、もう目が点でした。私はわりと滅びの運命に抗いながら、滅びに突き進んでいき滅ぶ、というのに抵抗がないので、それに気持ちをシフトしていました。出された情報で、抜け道が無さそうだったのでよりそう思っていた。なので、あ然としていた。そりゃ、ハッピーエンドいかなきゃだよな。


・戦闘が歯ごたえある
訳も分らずやっているとあっさり人が死んでしまうので、考えながらやる必要があります。有効な武器はどれか、誰をメンバーに入れるといいか、どの技を装備するか、どの技を強化するか。


・手垢のついたSFを踏襲しつつ一歩先へ行く
時間旅行しているかと思いきやセクターを並行移動をしていた、と思いきや今まで見ていたのは仮想現実でした。物語の中盤でセクター移動しているのは分って、そこで納得させるのがミソですね。も一段階用意しているところが誠実で、消費者としてはいいサービスを受けている気持ちになれる。
管理された空間にいて、人間に見えるのはほとんどがAIで、世界の果てがある、核汚染されている、などなど少しSFをかじった私でも目にしたことのある設定がある一方、それはSFあるある設定を楽しんでもらう前菜のようなもの。メインはテラフォーミング、仮想現実、ポッド。


ゲーム序盤は、どいつもこいつも人のこと利用しやがってふざけんじゃねえ、なんて思っていたのですが、中盤以降になると世界設定の方にどんどん興味が向いて人の行動や思考の狡猾さなんかには不快感など感じませんでしたね。そんなことより新しい情報をくれって感じ。いろいろあったけど丸く収まってよかったよ。
「この時この人はなぜ事実を隠していたのだろう」「なぜこんな行動を取ったのだろう」「なぜここにいたのだろう」こういう細かい謎は山のようにあって解消されず妄想するしか無いんだけど、仮に感情や行動理由を説明されたとしても、既に提供された情報で頭がいっぱいいっぱいなので処理しきれないという問題が生じるので、これでいいです。謎は謎のままにしておくか、おいおい考えるかにします。

何はともあれ、こんな凄まじいゲームを作ってくださってありがとうございました。次回作も楽しみにしています。

 

十三機兵防衛圏 - PS4

十三機兵防衛圏 - PS4

  • 発売日: 2019/11/28
  • メディア: Video Game