wanshannan’s diary

ドラマ、映画、ゲームの感想を中心にその他のことも書きます。

11/17 木下牧子さんが来た!

【11/17】

木下牧子さんが来た!講演が興味深かったので思い出しながら内容を書き残しておきます。

 

作曲専攻の音大生は、オーケストラ以外音楽じゃないと思ってる。私もそうだった。元々ピアノやってて、合唱は触れたことなかった。藝大で自分の曲をオケで演奏してもらって、聴いてると同時に、スランプが来るとかんじたし、実際来た。
スランプ院生の時、東京外国語大学の合唱団から依頼をされて初めて合唱を書いて、演奏された時の拍手喝采に感動した。今まで書いた現代曲でも拍手はもらってたけど、「まぁこんなもんか。」というものだった。自分の曲で観客が熱狂しているのを初めて見て、コレだと思った。混声、男声、女声と書いていき、声楽曲を書こうと思ったら出版社に「そんな売れないもの書かないでください」と言われた。当時は前衛歌曲最盛期、今となっては現代歌曲暗黒時代だってので、そう言われるのもしょうがない。でも拍手喝采熱狂の経験によりイケると思ってたし、実際そうなった。
初めて会う人に「牧子さんの合唱曲やりました」と絶対に言われる。歌は影響力が強い、価値があると思った。言葉に意識、興味がない人は作曲にせよ演奏者にせよ、曲にフレーズがない。器楽ではダメになる。音楽する人はコンクールの審査員をするといい。自分がコンクール10回出るより1回審査員する方が勉強になる。何がいいかを客観的に見ることができる。座間にいい声楽コンクールがある。今年東京であった国際合唱コンクールもいい。そこで思ったのは、中学生の頃から本格的な声楽の指導をしたほうがいいということ、日本人の声は固くて1字1字になりがちでフレーズが欠けていること。国際コンクールでは課題曲が日本語だった。プロアマ問わず「日本語の曲は発音や発声が難しい」って言うじゃない。このコンクールで圧倒的に素晴らしかったのはラトビア。日本語のフレーズを感じ取って勉強しているのと、響きがある。日本の団体も素晴らしい。でも響きが足りない。足りない響きを選曲や、いわゆるフォルテではない「押し」でなんとか補おうとしているのではないか。日本語曲で何より大事なのは、言葉の立ち上がり、文節の最初。アクセントをつける、ということではない。子音で表情や色を付け、母音をしっかり発音する。そうすると言葉に聞こえるし、フレーズ感も出る。
コンクール受けする華やかな曲は書かないようにしている。こびるの嫌だし、「コンクールで絶対に金賞をとりたいんです」という依頼者のプレッシャーがしんどいから。まあ、2曲くらい書いたし、上手い団体だったから金賞取ったんですけどね。木下牧子さんの曲って、旋律がよくて、きれいで、透明感があって、と評価されるけれど、熱く燃えてる部分もある。無伴奏合唱曲だけで判断すると、そういう感想になりがち。オケ伴奏版がナクソスで聴けるから聴いて。音大図書館行けば無料で聴けるから聴いて。合唱の木下牧子さん、と紹介されがちだけど、2010年からオケを復活したから聴いて。合唱している人にオケ聴いてと言っても「ふうん」という感じなんだけど、聴いて。きれいなだけじゃない、というのが分かるから、聴いて。

まとめ
・日本語曲は文節の立ち上がりが肝心要。
・あなたが知ってる木下牧子以外の木下牧子もいるからそれも勉強して。


「作曲専攻の大学生はオーケストラ以外音楽だと思ってない」がクリティカルヒットで面白すぎる。自分を卑下した発言で冒頭からつかまれました。あと「卒業作品で1位はもらったけど実際スランプは来た」「実際合唱曲は当たった」とか、直感や実績を断言しているのが格好いい。裏付けのある断言て格好いいな。
「コンクールの審査員をするのはいい勉強になる」ですが、一般人がコンクールの審査員になるのはできないんで、コンクール行って聴いてそれぞれ自分で勝手に評価しろって事だよね。一理ある。どういう音楽がいい音楽かというのを自分の言葉にできるし、音楽迷子になってる人にとって自分の方針が定まるよね。
あと普段から牧子がツイッターでも口酸っぱくして言ってるのは「単語の最初のひらがなを丁寧にやれ」ってのは、今日登場した合唱団で実証されました。比較するとわかりやすいね。聞きかじったように「日本語の歌は発音が難しい」って言わない方がいいよな。実際にそう思ってるんならいいけどさ。じゃないとただの口だけ音楽家だよねえ。一番大事なのはフレーズ感ね。

 

混声合唱 夢みたものは (1129)

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