wanshannan’s diary

ドラマ、映画、ゲームの感想を中心にその他のことも書きます。

3/23-24 劇団四季「王子とこじき」観た

【3/23】

会社行って帰ってぐうたら。
女神異聞録ペルソナ」をやろうかと思ったのだが、畏怖の念を抑えられず断念。

 

【3/24】

夜:カレーライス

会社行って劇団四季の「王子とこじき」を観てきた。
いやぁ、すごかった。脚本のねじれ現象がすごかった。

あらすじは、容姿がそっくりな王子と乞食が互いの服を着て入れ替わる、という話です。
周りの人々は二人が入れ替わったことに全く気付かないのだけれど、いや、気づくだろ。
乞食の方は毎日アル中親父に暴行を受けているのだから傷もあるし、
その日暮らしだから痩せているに決まっている。風呂だって習慣的に入っていないだろう。
方や王子はごちそう三昧、お勉強とお稽古して過ごしているのだから
体に傷もないし、痩せる要素もないし、たぶんお肌だって玉のようであろう。
百歩譲って、暴行の跡も全く同じ、BMIも同じ、王子は風呂嫌いだったということにしておこう。

入れ替わってすぐは互いを演じていたが、その後「俺は別人だ」と言い出す。
はたから見てそっくりなのは主人公二人も分かっているのにこの言葉を言い続ける。馬鹿だと思う。
周りの人間は「王子がおかしくなった」「トム(乞食の名前)がおかしくなった」と口々に言う。
それを承知で「僕は王子(トム)じゃない」と言い続ける。馬鹿だと思う。
元に戻りたいならさっさと戻ればいいじゃん。そんなに言い続けるのは、くどいよ。意味ないし。

このミュージカルでは「非難を恐れず真実を言おう、見かけは関係ない」というのが教訓?主題?です。
それは口をすっぱくして言われたし、観客もそういう内容の歌を練習させられて歌いました。
だけど、物語のラストシーン、王子が立派な赤い王様が着るようなマントを羽織って王冠を授かるんです。
あれ、さっきまで見かけに騙されんなよって歌っていたのにそれ着ちゃうんだ、
それさっきまで歌っていたことに沿っていないじゃん。
というか「見かけは関係ない」とか言っていたら、衣装を着て何かを演じる役者って何。
見かけが関係ないんだったら、舞台上にいる人はどんな服でもいいんじゃないか。でもそうしてないよね。
これがこのミュージカルを見て感じたねじれ現象です。


突っ込みどころだけではなく、純粋にすごかったところを書こう。
収容人数800人という小さい箱にきてくれたこと、とてもありがたいと思った。
舞台も狭くて動きずらかっただろうに、舞台転換も気を使ったことでしょう、あっぱれ。
ダンスが跳ぶっていうか飛んでた。この世界では王子も乞食も同じダンスレベルです。すごい。
全国巡業の過密スケジュールがすごい。この3月だけでも6か所回り、3日連続を2セット、それも全日別会場。
公演当日に仕込みと公演と撤収、を3日連続でする。各会場舞台の大きさも勝手も違うだろうに、すごい。
というか半年以上かけて全国行脚しているので、キャストも裏方スタッフも共々自宅が必要ないレベルのスケジュール。
本当にすごかった。よく休んでほしいです。

この演目は50年くらいやってる演目で、きっと初演から何も変更ないんじゃないかな、と思ったら
2006年初演だそうな。まじか。たかだか10年前の、作品にしては、ちょっと、古典すぎるんじゃないだろうか。
「王子とこじき」は演出や衣装なども全く変わらずに、初演当時のものをそのまま公演し続けているなら、
生きた文化遺産だと思っていたのに、思っていたより歴史が浅かった。なんだこれは。

 

王子とこじき (10歳までに読みたい世界名作)

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